『新・空手道 第5号』追加寄稿
「何故、極真護身空手道ルールがセカンドルールなのか」
浜井識安
極真護身空手道ルールがセカンドルールであるという事の真の意味
私が繰り返し言っている
極真護身空手道ルールは空手界のセカンドルールであると言う真のの意味は何でしょうか
私がセカンドルールと言う事はその前提に各流派の大切なファーストルールの組手ルールとそのルールで勝つための稽古方法があるということなのです。
それぞれの流派のファーストルールとは、各流派の組手ルールとそのルールで勝つための稽古方法のことです。
極真フルコンタクト空手ルール
伝統派寸止め空手ルール
防具派(日本拳法、空道、硬式空手)直接打撃空手ルール
少林寺約束組手ルール
ムエタイルール
キックボクシングルール
K-1ルール
MMA総合格闘技打撃ルール
プロレス打撃ルール
などです。
これらすべてが諸先輩や先人たちの血と汗の結晶の組手ルールとそのルールで勝つための稽古こそがルールがファーストルールなのです。
それぞれに長所と短所がありますが、実は自流派内で同じファーストルールで組手をしていてはその長所も短所もわからないのです。
他流派と戦って初めて長所も短所も明らかとなり、それをフィードバックし改善して初めて自流派のファーストルールでの組手に磨きをかけるのが最良のやり方ではないかと思われます。
もちろん護身空手道ルールも最高のルールとは言い切れません。
それでも何故これで他流試合するのか
それはその安全性と実戦性の両方にとても優れている事、次に反則が少なく判定がわかりやすい事、さらに4ポイント&ノックダウンの二重ルールでポイントでもノックダウンのどちらでも勝てる、勝敗が明確であり安全ながら実戦的で見ていて緊張感のある面白いルールだからです。
顔面を打たれるために晩年に生ずる脳の後遺症として知られるパンチドランカーと言われる症状も新開発空気抜け穴付き安全ドラグローブとしかも顔面打撃4ポイントで1本勝ち試合終了という被打撃数の少ない安全ルールで二重にダメージを最小化しているのです。
つまり安全に全流派が参加できる、打撃のみの格闘技ルールである事が全流派のセカンドルールとしての護身空手道ルール最大の長所でありメリットなのです。
セカンドルールの他流試合のための稽古をして組手試合に出ても、それはあくまで他流試合のためだけのルールであり稽古なのです。
自流派のファーストルールである組手試合ルールやそのルールで勝つための伝統的稽古方法は決して変える必要はないのです。
ここをよくご理解下さい。
つまり自流派の試合ルールやそのルールで勝つための稽古方法はあくまでも自流派のファーストルールとして伝統を継続し、他流試合のためだけの試合ルールやそのための稽古方法がセカンドルールとしての護身空手ルールなのです。
逆に自流派のファーストルールを継続することでその流派独特の空手が伝統的に継承されるのです。
全流派が同じルールと稽古する必要は全くありません。
そんなことになったら画一化された空手になるだけです。
各流派でのファーストルール違うからこそ様々な特徴を持った空手が生まれ、それが護身空手道ルールで戦うことによって最高の切磋琢磨が生まれると私は考えているのです。
たとえば極真フルコンタクトルールは打撃格闘技としてのフィジカルの養成には最適なのです。
また日本空手協会は倒そうとする力みがないのでそのスピードが素晴らしい空手となるのです。
防具空手は安全に自由に打ち合える空手となっています。
決してそれぞれの伝統的なファーストルールを捨ててのセカンドルール採用ではないのです。
ファーストルールを検証するためのセカンドルールだとご理解下さい。
ここを十分ご理解いただけますようにお願い申し上げます。
アメリカやヨーロッパやロシアの選手達はその点で日本より恵まれていると思います。
多くの選手達が
極真フルコンルールの試合
伝統派寸止め空手ルールの試合
防具空手ルールの試合
キックボクシングルールの試合
などさまざまなルールの試合や大会に自由に参加して学んで成長しています。
日本では日本人の真面目さや律儀さ、忠実さも有り、自流派の稽古や試合ルールを大切にして他流派と交流さえしない、他流の試合ルールの大会に参加しないのです。
それは日本の武道家として、格闘家としての長所でも有り短所でも有ります。
これを改善するための全打撃格闘技の他流試合のためのルールこそ
セカンドルールとしての極真護身空手道ルールだと考えています。
皆様のご理解のほどよろしくお願い申し上げます。